税理士試験と言えば難易度が高く、簡単に合格出来る試験ではありません。難しい試験であれば試験勉強に集中したいところですが、働きながら勉強に励んでいる人も多数います。その場合、何年で試験に合格する事が可能なのでしょうか?
この記事では、働きながら税理士を目指した場合は何年で合格出来るか、また働きながら試験勉強をするメリットや合格するための効率的な勉強法などについて紹介します。
働きながら税理士を目指した場合の平均合格年数
税理士試験は科目選択制度を採用しており、全11科目から5科目を自由に選択できるスタイルです。合格ラインは各受験科目60点以上で、毎年一定の合格率を保っている事から、いずれの科目も60点以上の点を取れると合格も見えてきます。試験に合格するには、もちろん勉強量と質が大切で、受験勉強に専念できる人が有利となります。例えば専門学校に通って税理士試験に集中している人は、1年で2~3科目の合格を狙うカリキュラムが組まれており、順調に進めば2~3年での合格が可能となります。
一方、働きながら税理士試験の合格を目指す場合は、最低でも3~5年の年数を要します。仕事をしつつ専門学校に通う際は1年で1科目合格を目指すカリキュラムとなっているため、最短でも5年はかかる事になります。同じような環境であっても人によって知識を習得していくスピードは違うので、一概に何年あれば合格出来るとは言えませんが、時間をかけて勉強していかなければ突破できない難関である事は間違いありません。
働きながら税理士試験勉強をするメリット
働きながらの試験勉強は簡単ではありませんが、それでもメリットはいくつかあります。
お金の心配をしなくて良い
税理士に合格するには、勉強に集中出来る人でも2~3年はかかります。働きながらの場合は3~5年、さらに受験科目の合格率は低い点も考慮すると、さらに年数がかかる可能性もあります。独身で若い年代なら余裕があると思いきや、友人や知人がしっかり働いて稼いでいる現状を知ると、否応なしに焦りを感じるかもしれません。結婚して家族を養っている身であればお金の問題はさらにシビアで、よほど蓄えが無い限り経済的に厳しくなります。
税理士にさえなれば全て解決という訳ではなく、税理士になった際には登録費用に30万円程度かかります。その他にも年1回の税理士会費や勉強するための専門書、セミナー受講料なども必要となり、ギリギリの状態で生活をしているようでは途中で息切れしてしまいます。また将来的に独立開業を考えている場合、事務所を借りるとなった際には家賃の支払いや備品代も必要となります。税理士として軌道に乗らなければ安定した収入も得られないため、先を見越してお金を稼いでおくのは大切な事なのです。
実務経験も受験対策になる
働きながら税理士を目指す場合、勤務場所は会計事務所が理想です。会計事務所で働けば会計科目や税法科目への理解が深まり、また税法の最新事例に触れる機会も出てきます。税理士試験は税金に対しての実務能力を問う内容となっており、判例をベースにした問題もよく出題されるため、働きながら得た経験が試験対策にもなるという訳です。机の上での勉強に合わせて現場での経験は良い相乗効果となり、晴れて税理士となった際も全く実務経験が無い人より、ある程度の経験を積んだ人の方がキャリア形成も出来ているため、速やかに独立開業も目指せます。
経験値がアピールポイントになる
税理士事務所を構えた時に、開業したばかりの頃はほとんどが顧客ゼロの状態です。クライアントも税理士が信用できなければ、わざわざ契約を結ぶ事は無いのです。実務経験が全くない税理士は不利で、クライアントを探し出すにも一苦労ですが、税理士になる前から様々な実務経験を積んでおくと、その経験値が評価の対象になります。特に会計事務所で働いていると顧客との繋がりもでき、独立開業した際は旧知の顧客が周りに宣伝をして、存在を広めてくれるケースもあります。人との縁や繋がりはどこに転がっているかわからないもので、会計事務所に限らず、一般企業で働くにしても、人との繋がりを持っておくのはとても意味のある事なのです。
逃げ道が出来て精神的な安定が得られる
試験勉強するからには、もちろん誰もが合格を目指していますが、難易度の高い試験だけに全ての人が合格出来る訳ではありません。何年も挑戦し続けて失敗を繰り返した結果、泣く泣く諦めざる負えない状況になるケースもあります。勉強に専念して働いていない場合は、税理士を諦めた時点から就職活動をスタートさせますが、職務経歴欄には長い空白が生じます。ブランクが長いのは再就職にはマイナス要素となり、就職活動も苦労するかもしれません。一方、会計事務所なり一般企業なり勉強しながらも働き続けていると、もしもの場合も進むべき道が定まっているので、不安も最小限に抑えられます。人は追いつめられると焦りが生じますが、逃げ道があると精神的にも安定し、仕事との掛け持ちで忙しいながらも意外と勉強に集中出来るものです。
税理士試験の効率的な勉強法
働きながら税理士を目指す場合、効率良く勉強を進めるには専門学校で学ぶのがベストです。もちろん独学でも不可能ではありませんが、税理士試験は難関の国家試験であり、特に税務関係についての知識などは1人ではなかなか理解しがたい内容です。専門学校の講師は受験対策に関してはプロで、過去問などを分析して試験の傾向と対策を伝授していきます。何かわからない部分があれば、その場ですぐに講師に質問することも可能で、1人で悶々と考えるよりも効率良く学習が進められます。
また限られた時間の中で、いかに勉強の時間を確保していくかも重要なポイントです。起床から出勤までの間や通勤時間は自主学習、仕事が終わってから専門学校へ行き、学校からの帰宅時間や就寝までの時間は再び自主学習と、上手に時間を活用しながら勉強していきます。勉強に専念している人は時間も余裕がありますが、働きながら勉強しなければいけない人は、自分で工夫して時間を作っていく必要があるのです。またやみくもにダラダラと勉強するのではなく、受験日に照準を合わせて勉強のスケジュールを決めていくことも大切です。ゴールから逆算して計画を立てると、いつまでに何をすべきかコンスタントに目標を立てやすくなり、試験直前に勉強が間に合わないと焦る必要もありません。
そして税理士試験は科目選択制度を採用していますが、試験科目の選択も重要なポイントとなります。もし会計事務所で働いている場合は、自分が担当している内容に合わせて科目を選ぶと、仕事を通じて得た知識が試験勉強にも活かされます。また選択科目に関しては、標準勉強時間や科目の合格率も参考にすべき点です。科目によってボリュームの尺度が異なり、例えば相続税法の標準勉強時間が400時間とすると、国税徴収法や酒税法は150時間となります。各受験科目の合格率に関しては、1位の財務諸表16%から11位の固定資産税11.23%まで、それほど差がある訳ではありませんが、少しでも合格のチャンスを増やすという意味では、僅かながらでも合格率の高い科目が狙い目と言えます。
努力すれば働きながらでも税理士を目指せる
働きながらの税理士試験合格は容易ではありません。「絶対に合格する」という強い気持ちと覚悟が必要になります。まずは自分のライフスタイルに合った専門学校を探し、受験対策に特化したカリキュラムで無駄なく学習を進めていく事が大切です。また仲間を作ると、お互いに励ましながら勉強出来るため、モチベーションの維持にも繋がります。合格まで長い道のりになりますが、地道な努力は確実に結果へと結びつくのです。
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