税理士試験は難関と言われる国家試験の1つです。試験を受けた後、自己採点の結果がボーダーラインギリギリ、もしくはボーダーに届かない場合、不合格になるのではと不安に駆られる人もいるかもしれません。そこで今回は、税理士試験はボーダー以下でも合格できるのかや、ボーダーラインを下回った場合の過ごし方などを紹介します。
税理士試験のボーダーラインとは?
税理士試験のボーダーラインとは、合格と不合格を分ける境目の点数のことです。税理士試験は「科目合格制」が大きな特徴です。税理士試験の科目は、必須の会計科目2科目・必須の税法科目2科目・選択の税法科目7科目の合計11科目あります。この中から5科目合格点をとれば、税理士試験に合格したことになります。なお、1度の試験で5科目合格できなかった場合、合格した科目は次回以降の試験でも合格扱いになります。例えば2科目だけ合格したなら、次回の試験時は合格した科目はそのまま合格済みになり、残り3科目を合格すれば、試験をクリアできるということです。1度の試験で5科目一気に合格点を取る人もいますが、何年かに渡り少しずつ合格科目を増やして試験を突破する人も少なくありません。ここまでが税理士試験の前提です。
それでは具体的にボーダーラインは何点なのでしょうか。税理士試験の合格ラインは満点の6割です。ただし、6割以上取れば絶対に合格できるわけではありません。税理士試験の合格率は例年10%ほどで推移しています。つまり、例え受験者の30%が6割以上の点数をとったとしても、実際試験に合格するのはその中の上位10%程度であるということです。税理士試験はこのように競争試験でもあるため、受験者のレベルによってボーダーラインが毎年変動します。なお、科目によって満点や受験者数が異なることから、各科目でもボーダーラインは変わります。例を挙げると、令和元年度実施の税理士試験においては、6割ラインは50点台から80点台までとかなり開きがあります。また、ボーダーのほか、ここまで点数をとればほぼ合格は確定できるだろうという合格確実のラインも存在します。合格確実ラインは大体ボーダーより10点ほど上の点数が発表されます。
税理士試験の自己採点はあてにならない
税理士試験を受けた後、多くの受験者が行うのが自己採点です。自己採点の点数とボーダーラインを比較し、自分の合否の可能性を割り出すためです。それでは試験後の自己採点の結果、ボーダーラインに届いていたら合格なのか、下回っていたら不合格なのかと言えば必ずしもそうとは限りません。その理由は、税理士試験の自己採点はあてにならないということにあります。なぜなら、各問題の配点が実際どのようになっているかはっきりわからないからです。税理士試験が終われば、各予備校から各科目試験の模範解答や点数配分、ボーダーライン、合格確実ラインなどが発表されます。これらを参考に、受験した人は自己採点を行います。
ただし、これらの情報は試験の実施元が発表しているものではなく、あくまで各予備校がこうだろうと考えているものなのです。そのため、予備校によって内容にばらつきが発生する部分もあります。問題に振り分けられる点数配分の見解が予備校ごとに異なる場合もあります。また、ボーダーライン自体がバラバラになることも。自己採点がA予備校発表のボーダーラインは上回っていて、B予備校発表のボーダーラインは下回っているなどというパターンもあり得ます。
自己採点を行って出した点数は1つの目安にはなるでしょう。しかし、試験の実際の点数が必ず自己採点通りの点数になるとは限りません。予備校の予想する点数配分と実際の点数配分が異なり、自己採点の点数が実際の点数と大きく剥離する場合もあります。そうなると、自己採点の点数はボーダーを超えていたのに試験に落ちたということも起こりうるわけです。自己採点で一喜一憂しても、本当の合否が出るまで結果はわかりません。自己採点に用いる情報はすべてあくまで予想の範疇に過ぎないことを理解し、振り回され過ぎないよう気を付けましょう。
ボーダーラインを下回った場合の合格発表までの過ごし方
税理士試験は試験日から合格発表までの期間が約4ヶ月と長いことも特徴的です。試験が終わって自己採点をした結果、ボーダーラインを下回っている場合、合否発表までの時間がとりわけ長く憂鬱に感じられるかもしれません。前項で説明した通り、税理士試験の自己採点はあくまで目安程度に考えておくべきです。ただ、そうは言っても自己採点の点数がボーダーラインに達していなければ、不合格かもしれないと不安に駆られることでしょう。ここで注意すべきは、結果発表までの時間をただ無益にダラダラと過ごさないことです。この期間をどう過ごすかで次回の試験に大きな影響が出る可能性もあります。ボーダーを下回った場合どのように合格発表まで過ごせば良いのでしょうか。
まず大切なのは、自己採点の結果で悩み過ぎないことです。悩んでも解答が変えられるわけではなく、また正確な点数配分などがわかるわけでもありません。試験はもう終了したものとして気持ちの折り合いをつけ、前向きな行動を起こすことが重要です。例えば自己採点の結果がボーダーラインを大きく下回っている場合、不合格の可能性がかなり高いときには、不合格と思しき科目をまた勉強し直すという過ごし方があります。試験間もないタイミングであれば、自分はどの部分の勉強が足りないのか痛感できているはずです。その感覚がはっきりしているうちに、強化すべき部分の勉強に取り組むことでしっかりした復習ができるでしょう。また「試験でうまく解答できなかった。悔しい」という気持ちが強いうちに勉強に向かえば、より意欲が増すとも考えられます。次の試験でまた同じ科目を落としてしまうパターンは珍しくありません。同じ間違いを繰り返さず、次は合格できるよう記憶が新しいうちにしっかり見直しするのは有効です。
なお、もし自己採点がボーダー以下、やや下回っているあたりの場合は、実際その科目が不合格かどうか確実なところはわかりません。このような状態で勉強をするなら、合否が不明な科目は一旦保留し、次回の試験に必要な別の科目に取り組むのが一般的です。今回受験した科目の振り返りはもちろん必要ですが、次の試験に向けた準備も大切。試験は例年8月に行われ、合否発表は12月です。合否発表後は次の試験まで8ヶ月しかないので、のんびりしていると準備不足になってしまう可能性も。合否までの時間も有効活用しなければなりません。そのため、もし自己採点結果が不安でも前向きに次回に繋がる勉強をしましょう。
ただし、ひたすら勉強だけをし続ける生活をずっと送るのは辛いものです。また新たな気持ちで次の試験に向けて頑張るためには休息も必要でしょう。例えば1日の勉強時間を試験前より少し減らしたり、何か勉強以外のことをしてみたり、自分に合った息抜きを考えてみてください。少し勉強から離れてリフレッシュすることで、勉強に向かうモチベーションをまた上げられるかもしれません。勉強をしっかり進めるためには、メリハリも大切です。リフレッシュする際の注意点は、長期間勉強をしない状態をつくらないこと。せっかく蓄えた知識やスキルが抜け落ちていったり、勉強の仕方・ペースを忘れて思い通りに学習が進められなくなったりする可能性があります。息抜きが勉強のマイナスになったら逆効果です。一区切りとして適度に休み、また試験に向けて頑張りましょう。